大一大万大吉の旗のもと

与左衛門の創作トリックテイキングゲーム集

『2人でトランプを』と「侍ホイスト」のご紹介

 マサイキリンさんから新著『2人でトランプを』が完成したとお知らせいただきました。ゲームマーケット秋2020で販売されるとのことですが、拙作を収録いただいたご縁で先行して郵送くださいました。

 その本を目にして、度肝を抜かれました。何たる分厚さ! サイズはA4版で、厚みが3cm弱もあります。手に取ると、ずっしりと重い。そして、本の中には何と110種類のトランプゲームのルールが詰まっています。すべて2人用のルールです。世界中のありとあらゆる2人用トランプゲームがこの一冊に収録されているのではないか、と思えるほどの圧倒的分量です。友達や恋人や家族と週末ごとに1ゲーム遊ぶとすると、全ゲームで770日、2年以上も毎週違った楽しみを味わえます。この先、太陽フレアが地球を直撃し、電気が使えなくなったとしても、トランプとこの1冊があれば困らないのではないでしょうか(困るだろ)。

 さて、拙作『侍ホイスト』について少し紹介させていただきます。これは『戦国ホイスト』三部作の1つとして作ったものです(他の2つはまた折を見て発表したいと思います)。今回、『2人でトランプを』に収録されたように、2人専用のトリックテイキングゲームです。

 世の中には“負けるが勝ち”タイプのトリックテイキングゲームが多数あります。有名なものでは『ハーツ』がそうですね。『侍ホイスト』も基本的には負けることを目指します。しかし、ただ単に負ければよいのではなく、ギリギリ負けることが求められ、そのほうが得点が高いのです。とはいえ、ギリギリ負けを目指すということは、ついうっかり勝ってしまう(相手が得点を稼ぐ)危険と背中合わせだということでもあります。安全策を取ってローリスク・ローリターンで行くか、それとも攻めの姿勢でハイリスク・ハイリターンを狙うか、プレイヤーの判断力が問われます。

 先ほど「基本的には負けることを目指す」と書きましたが、じつは「猛攻宣言」という圧倒的勝利をねらう選択肢もあります。これは成功すれば高得点、失敗すれば逆に相手の高得点になるという超ハイリスク・超ハイリターンの戦術で、ゲーム開始時に宣言する必要があります。

 このように『侍ホイスト』では、ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターン、超ハイリスク・超ハイリターンの3通りの攻め方があります。しかし、「それって結局、配られた手札次第でどの戦術をとるか決まってしまうのでは?」と疑問に思われるかもしれません。そのとおりです。

 そこで『侍ホイスト』は手札を選ぶことからゲームが始まります。まず先行プレイヤーが3枚のカードを手にして、欲しいカードであれば自分の手札とし、欲しいものでなければ相手に渡します。これを交互に2回ずつ行って手札を構築します。相手に渡したカードを覚えておけば、ゲームを有利に展開できるでしょう(私の鶏脳では無理ですが)。『侍ホイスト』において、手札選びはとても重要です。手札選びの段階からすでに駆け引きは始まっているのです。

 以上、『2人でトランプを』に収録されている他のゲーム共々、多くの皆様に遊んでいただけると幸いです。また、このたびも拙作を取り上げてくださったマサイキリンさんにこの場を借りて御礼申し上げます。